「熊の木本線」
最近の流れのなかで思い出されていたのが「熊の木本線」。
昔、石田純一さんが「世にも奇妙な物語」の中で演じてました。
(これは思うに石田純一さんの代表作、今も印象に残る名演技)
熊の木本線に乗って熊の木にたどり着いた石田さんが
何も知らずにあやうい歌をみんなの前で歌い踊ってしまいます。
原作は筒井康隆氏『おれに関する噂』収録の短編「熊の木本線」。
書棚から取り出して読み返してみました。この前、読んだのはたしか10代の頃。大まかな筋はぼんやり覚えているけれど、細部はすっかり忘れていたので、今回はらはらどきどきしながら読み始めました。私、げらげら笑いながら読んでいって、最後はしーんとなりました。
あやうい歌とは「熊の木節」という歌で、「歌が突拍子もなく面白い上に、踊りがこの世のものとも思えぬ奇妙奇天烈さで、誰が歌い踊っても、げらげら笑わずにはいられないのである」そうです。
言ってはいけない本当の言葉、というのがあると思います。ほかの場所でなら言ってもよいけれど、この場所では言ってはいけない、という言葉。言ってしまうと、由々しき事態をまねいて、非常にまずいことになってしまう、という言葉。その場かぎりの禁句みたいなもの。
最近思うのは、バーチャル、リアルワールドどちらでもいえることだけれど、私たちは「これはここでは禁句」という暗黙の共通理解のもと、日々あやうい言葉のダンスを踊っているのではないか。時には暗黙の共通理解を知らずに、または知らされずに、その場で初めて言葉のダンスを歌い踊らなければいけないこともあるのではないかと。
ブログで記事やコメントを書くことは言葉のダンスを歌い踊るようなもの。ブログとは何かを書く場でもあるけれど、何かを書かないことで何かを伝える場でもある、と思うきょうこの頃。きょうの私はちゃんとダンスを歌い踊れたかしら。これは一日の終わりにいつも私が思うこと。
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コメント
chiikoさん
言葉のダンスという表現、とても気に入りました。
僕はchiikoさんの言葉のダンス、好きですよ。
昔のことわざに「雄弁は銀、沈黙は金」というのがありましたね。
今日は夜、走ったのですが、月にとても大きな傘がかかっていて、
月の直径の50倍くらい(それ以上?)はあったかな。
びっくりしました。新記録です。
投稿: 空耳太郎 | 2005.03.21 22:24
空耳太郎さん、こんばんは!
言葉のダンス。どうもありがとうございます。
私、ときどきぺらぺらと要らぬことをしゃべってしまうことがあります。
今夜、走ったのですね。
今、私も月を見てみました。
光り輝いていてびっくりしました。
こちらは50倍とはいきません。
空耳太郎さん、新記録でよかったですね。
よい知らせかもしれませんよ。
きょうは訪問&コメントどうもありがとうございます。
ではまた!
投稿: chiiko(空耳太郎さんへ) | 2005.03.21 22:56