『手袋をさがす』
向田邦子さん最後のエッセイ集『夜中の薔薇』の「手袋をさがす」。
向田さんは22歳の時、気にいった手袋が見つからずひと冬を手袋なしで過ごす。ある日ある時、上司から、「君のいまやっていることは、ひょっとしたら手袋だけの問題ではないかも知れないねえ」「男ならいい。だが女はいけない。そんなことでは女の幸せを取り逃がすよ」「今のうちに直さないと、一生後悔するんじゃないのかな」と言われてハッとする。自分はほんとうは何をしたいのか、何に向いているのか、その答えが出るまで、その晩、電車に乗らずに自分の家まで歩いて帰ることにする。そしてある瞬間に「結局のところ私は、このままゆこう。そう決めたのです」。ほどほどのもので妥協せず、ほんとうに欲しいものをさがしてこのまま歩いていこう、と向田さんは決意する。
私はこの「手袋をさがす」を22歳の頃、初めて読んだ。その後も繰り返し読んだ。私にも「このままゆこう」と決めたある日ある時がある。向田さんは生涯手袋をさがし続けた人なのかもしれない。今再びこのエッセイを読んで思うこと。私にもかつて妥協せず手袋をさがし続けたことがあったが、ほどほどのもので妥協して手袋を買ったことがある。人生の幸不幸は終わってみないとわからない。終わってみたところでわからないのかもしれない。ある日ある時はいつも突然にやってくる。その日その時がいつ来てもいいように心の準備をしておきたい。今度こそ私のほんとうの手袋を見つけたいと思う。
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コメント
この話、いいですよね。私はこの年までいつも妥協で生きてきたようです。
今、(探し物ではないですが)生き方にこだわりのようなものを見つけつつあります。生きている限り探し続けると思います。
投稿: 涼 | 2005.01.06 09:39
こんにちは、いい話ですね。なるほどそうゆう向田さんのポリシーがあったから素晴らしい小説がたくさん生まれたんですね。その人でなければ気づけない、その人でなければこだわれない、そんなことがきっと誰にでもあるんだとおもいます。だからこそみなさんこうやってblogでいろんなことを書いてるんだな~って思います。
投稿: face | 2005.01.06 10:03
涼さん、こんにちは!
この話はいつも私の心のなかに何となくある話です。
手袋の記事を12月に書いたときから、また再び強く思い出して、いつか書けたらいいなと思っていました。
柔軟に生きていくことも大切ですよね。
生き方にこだわりを持つことはその人らしさにつながりますよね。
どうもありがとうございます。
では、また!
投稿: 涼さんへ | 2005.01.06 12:08
faceさん、こんにちは!
私が手袋の記事を12月に書いたことを覚えていらっしゃいますか。
あのときfaceさんの、コートを出来るだけぎりぎりまで着ないつもりですというコメントを読んでこの話を思い出しました。
きのうfaceさんの記事を読んで私も書いてみようと思いました。
どうもありがとうございます。
冬の運動会の原作は私も読んでいません。
ドラマも見てみたいです。
昼間に再放送があればいいなと思います。
faceさんにもfaceさんらしいこだわりがありますよね。
記事を拝見していてそう思います。ではまた!
投稿: faceさんへ | 2005.01.06 12:23
僕もいい話だと思いました。
物事には簡単に答えが出せることと、そうでないことがあります。
そうでないことを簡単に答えを出してしまうと危険だったりします。
でもあまり深く考えすぎて身動きがとれなくなってしまうことも…。
ともかくいろんなことが実に難しいものだと最近特に思います。
投稿: アキラ | 2005.01.06 20:54
アキラさん、こんばんは!
今、訪問してきたところです。ニアミス!
このお話、昔、読んだ時は胸が痛くなる感じで、
かみしめるように読んだのですが、今、読むと、
もっと胸が痛い話です。私にとっては。
アキラさんはいつも動いていてくださいね。
アキラさんは危険の中にあっても、なんだかいつも大丈夫な人のような気がします。
難しいことは生きていれば誰でもありますよね。
答えが出る時は出るし、出ない時は出ない。
なにごとも白黒つけずにピンク色。
すべてはうまくいっている。
そんな感じでいこうと思います。ではまた!
投稿: アキラさんへ | 2005.01.06 21:06
おはよう、chiikoさん。
向田さんの本って、実は読んだことないの(笑)
chiikoさんのこの記事読んで興味がわきました。
彼女、意志の強いワガママさんですね。
私なんか、すぐ他の手袋探すだろうな・・・。
たった一つの大切なものを探し当てるまで、頑張って突き進む人
壁にぶつかったら、他に道があるはずだとすぐに探し始める人
私は典型的な後者です。そして、この2つのタイプの人たちはお互いに「羨ましいな」と思いあっている気がします。
男性と女性では、流れる時間が違います。この感覚は男性にはわかりません。
それでもその時間を越えるくらいの「大切なもの」を見つけた人は、何年たっても素敵な人だろうなと思います。
そうなれたらいいですよね~、ほんと! (^^♪
投稿: つきのこ | 2005.01.09 10:40
つきのこさん、こんにちは!
私は向田邦子さんのドラマがとても好きで、
その影響でエッセイを読むようになりました。
小説はほとんど読んでいません。
『夜中の薔薇』と『眠る盃』が私のお気に入りです。
私は妥協と強情の両方を行ったり来たりのどっちつかずの人間です。
往生際の悪い女なのかもしれません。
素敵な人になれたらいいですね。
今まで私はほんとうにたった一つの大切なものを
見つけてこなかったように思います。
そういうものはないのではないかと疑っていたようなところがあります。
でも、それは確かにあるのだと今頃になって気づきました。
気づいたからにはそれを見つけたいと思います。
ではまた!
投稿: つきのこさんへ | 2005.01.09 17:10
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