海が見たくて
朝 目覚めて海が見たいと思った
海が見たいと言うと 見にいこうかと言った
電車を乗りついで 1時間後には海を見ていた
海を見るのも久しぶりだが ふたり並んで歩くのも久しぶりだった
なじんだ歩幅と歩く速度が心地よかった
海の向こうの島影が 蜃気楼のようにゆらゆら浮かんで見えた
もしかすると ほんとうの蜃気楼かもしれないと一瞬思った
あちら側に渡りたいと言うと トンボになって渡ってみようかと言った
秋のやわらかな光に包まれてこのままずっと海を見ていたいと思った
いままでに何度 一緒に秋を越してきただろう
たった一度 一緒に越せなかった秋がある
この秋も越していく これからの秋も越していく
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