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2004.08.31

炎のランナー・デリマ選手

バンデルレイ・デリマ選手(男子マラソン銅メダル)のレース後の会見

男子マラソン銅メダリスト、デリマ選手のゴール直前の走りを不思議な気持ちで見てました。笑っている、ジグザグにゆっくり走っている、投げキッスしている、天にむかって両手を広げている。蝶々が喜びのダンスを踊っているみたいだと思いました。

ただひたすら前を向いて走っていたら、いきなりどこかの誰かにコースアウトさせられ、走ることをとめられ、ペースを乱されて、心身ともにパニックになったことでしょう。驚いたでしょう、痛かったでしょう、悔しかったでしょう、怒りがわいてきたでしょう。でも、デリマ選手はその状況をあるがまま受け入れて、再びゴール目指して走り始めました。怒りを笑顔にかえて、悔しさを喜びにかえて、ラストランでみずからの銅メダルを祝ったのでしょう。自分を信じて42.195キロを走りきった炎のランナー・デリマ選手に心から拍手を送ります。

男子マラソンに限らず今度のオリンピックを見て私が感じたことは、
メダルの色は3色あって、金メダルはたった1個しかないけれども、評価には絶対的評価と相対的評価があって、絶対的評価でいえば金メダルは必ずしも1個ではなく無数にあって、デリマ選手に与えられるのは金メダルだろうな、金メダリストはほかにもたくさんいるだろうなということです。

アテネオリンピック2004は終わりましたが、オリンピックはまだまだ続きます。次のオリンピックを楽しみにしています。

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2004.08.30

旅するように

蒼い月かすみとふたりそらをゆく夏の記憶を旅するように

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あらしの夜に

蒼い月かすみを抱いてそらをゆく夏の最後のあらしの夜に

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魚座の満月、ブルームーン

きょうは魚座の満月。8月1日に続いて今月2度目の満月です。
ひと月に満月が2度あるときの2度目の満月のことをブルームーンと呼ぶそうです。
月はまれに大気の状態により青く見えることがあるようですが、それはめったに起きることではなく、英語では「once in a blue moon」で「極めてまれな」「めったにない」の慣用句として使われています。
私はまだ青い月を見たことがありませんが、そのような幻想的な光景に一生に一度ぐらいは出会いたいものです。
ここのところ天候が悪く月に出会えない日々が続いています。
今夜ブルームーンを見られたらいいなと思ってます。
魚座の満月は寛容の月、ゆるす月。奇跡が起こるとよいですね。

ブルー・ムーンについてはMira HouseさんのHPに詳しい説明があります。

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2004.08.29

夏休みの宿題

きょうは8月最後の日曜日。
こどもたちの夏休みもそろそろ終わりですね。
あまりに涼しくて涙が出そうです。
私の夏休みもきょうで終わりです。

こども時代の夏休みの宿題は簡単なものは早々とすませていたけど、絵と読書感想文と自由研究の大物3点セットが苦手で、いつまでもやり残していて、いつもこの時期は母親を巻き込んで片づけてました。今でもその習性は健在で、この夏、自分に課した大人の宿題がいくつかあったけど、まだ手つかずのものがあって、ちょっと途方に暮れてます。何度夏を過ごしても、いつまでたっても凝りないようです。
読書感想文はきのう片づけたので、あといくつか残っている宿題をここ何日かで片づけたいと思います。
深夜には男子マラソンもあるので、それを励みにラストスパートです。

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2004.08.28

『100万回生きたねこ』

 『100万回生きたねこ』は子どものための絵本ですが、大人のための絵本でもあると思います。私もこの絵本について考えてみました。ねこの語源は一説によると 「寝子」「ねむる子」だそうですが、この絵本は眠って目覚めること、死んで生まれることについて語っているのではないかと私は思ってます。

 ねこは最初から自分のことが好きだったのだと私も思います。ただ自分のために生きていないとずっと感じていた。自分の行きたくないところへ行かされて、自分のやりたくないことをやらされて、自分の眠りたくないところで眠らされて、まるで自分のために生きていない人生。100万回生きて100万人の飼い主にかわいがられたけれど、ほんとうに愛されたことはなかったのではないか。ほんとうに愛されたことがないのだから自分以外のものの愛し方もわからないし、自分を愛することがどういうことかもわからない。だから、いつも平気で死ねたのだと思います。

 飼いねこにはご飯の心配はないかわりに自由はありません。ねこは淡々と生き、淡々と死んでいくよりしようがなかった。ねこもねこなりにつらかったでしょう。そのつらさを忘れるために眠るように生きていた。でも、それはだれのせいでもなく自業自得のようなもので、ねこは何かを学ぶために飼いねこであることをみずから選んで100万回生まれてきたのでないでしょうか。

 100万回生きて、ねこはようやく眠りから覚めます。「ねこは はじめて 自分の ねこになりました。ねこは自分が だいすきでした」。
 ねこは目覚めると今度はのらねことして生まれ変わります。自由を得て初めて自分のために生きはじめます。ねこはのらねことなって白いねこと出会い、初めて自分を心から好きになり、自分以外のものを心から好きになる。そのことを学ぶのに100万回生きなければわからないねこもいるし、100万回生きてもわからないねこもいるし、たった1回も生き終えてないのにわかるねこもいる。眠っているねこもいれば、目覚めているねこもいて、飼いねこもいて、のらねこもいる。
 不自由であれ自由であれどんな人生からも学びとることはできます。そうやって、かけがえのない自分と出会い、かけがえのない他者と出会い、愛し愛され、いのちをつないでいくことの大切さを学びとったとき、ねこは「ああ、わたしは生きた!」と心から思えて、もう生まれくる必要はなくなったのではないでしょうか。

 「ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした」100万回生きたからこそ、ほんとうに安らかな眠りがねこに訪れたのだと思います。

 ほんとうにいい絵本ですね。できれば子どものころに出会って読みたかったなと思っています。

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2004.08.27

「炎のランナー」

オリンピックの陸上競技といえば
映画「炎のランナー」を思い出します。

この映画、ほんとうのところよくわからない映画でした。
青年たちが走る映画です。
みんなどこか似ていて、みんな悩みを抱えていて、みんな走っている映画で、よくわからないけど、走るってすばらしいなと心から思える映画です。ある者は人種偏見に抵抗するために走り、ある者は愛する人のために走り、ある者は神のために走る。
何かのために走る、何かのために生きることを描いた映画だと思います。スローモーションで走る映像とヴァンゲリスの音楽があわさって思い出されます。

野口みずきさんが帰ってきましたね。
野口さんの走りを見ていて中山竹通さんに似ているなと思いました。自分でレースをつくっていく先行独走型の炎のランナー。
私、中山選手は大好きでした。88年ソウル五輪と92年バルセロナ五輪で4位入賞。ソウル五輪のレース直後のインタビューで「3位も4位も1位でなければビリと同じですから」という発言をして、ああ、中山さんらしいなと思い、ますます好きになりました。駆け引きのない走り。あるのは自分自身との駆け引き。自分を信じて自分のために走る炎のランナー。
今、日経新聞スポーツ面で「アテネWATCH」という特集記事があって、注目競技を各分野の専門家が独自の視点で解説しています。中山竹通さんが女子マラソン翌日に野口選手のレースを解説していました(8月23日夕刊の記事)。元マラソンランナーから見た野口選手の走りということで独自の深い分析をしています。野口さんもまた炎のランナーなのだなと解説を読んであらためて思いました。
29日の男子マラソンも近づいてきました。炎のランナーはいるでしょうか。胸がどきどきするぐらいとても楽しみにしています。

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2004.08.26

ひと風ごとに

いとおしい夏の記憶のエッセンスひと風ごとに秋へとけゆく

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2004.08.25

『センセイの鞄』

川上弘美さんの『センセイの鞄』を読みました。
図書館に行ったら「人気本到着」という棚に置かれていました。
タイミングよく出会えて、読んでみたくなりました。
センセイの鞄って何なのか、まるで知らずに読みましたが、とてもおもしろく、ためになりました。
センセイと月子さんの淡く、激しい恋物語なのですね。
「くそじじい」
「月子さんよ、期待するなかれ」
「期待は厳禁、期待は厳禁」
「センセイ、好き」「ワタクシも、ツキコさんが好きです」
「センセイ、どこにも行かないでくださいね」「どこにも行きませんよ」
「ツキコさん、ワタクシはいったいあと、どのぐらい生きられるでしょう」「ずっと、ずっとです」
「センセイ」「ツキコさん」
月子さんのひとりごとと言葉、先生の言葉、センセイと月子さんの会話は素っ気なさそうで温かいです。
ありそうでなさそうな、でも、ほんとうにあってほしい物語。
最初はくすっと笑いながら読んでいましたが、次第にせつなく身にしみてきて、最後は涙がぼろぼろ出ました。
「いのち短し恋せよ乙女」だなと思いました。


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2004.08.24

『Arne』と『村上ラヂオ』

『Arne』創刊号と別冊「うちで使っているキッチン道具 大橋歩」をブックス代官山で買いました。レジ横の一番目立つ場所にArneコーナーを設けて平置き空中ディスプレイしてました。だから、行ったら迷わず探せてバックナンバーも充実してました。
ブックス代官山は小さな書店ですが、私の好きな本が多く置かれていて行くたびにうれしくなります。入り口の看板がかわいいです。駅前にある普通の本屋さんだけど、普通じゃないすてきな本屋さん。右隣にある洋服&雑貨屋さんもすてきなお店です。

『Arne』のざらざらとした温かみのある手触りが好きです。ページをめくりながら『村上ラヂオ』(村上春樹文 大橋歩画)と似ているなと思いました。
大橋さんのモノクロ&シックな絵はいつもの歩さんとはちょっと違っていて、だけど歩さんらしいノスタルジーがあふれてます。
春樹さんのエッセイも「好きなことを好きに書けた」とあとがきにあるように、好きなことを好きに書いた人の文章を読むのはなんと楽しくて幸せなのだろうと思いました。私の好きな言葉「人生の小確幸(小さいけれど確かな幸せ)」も出てきます。
この二人の組み合わせはよいですね。 小さくてかわいくて確かな幸せが詰まっている本です。

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2004.08.23

ひたむきに全力で走る

野口みずきさん、金メダルおめでとう。
土佐礼子さん、5位入賞、おめでとう。
坂本直子さん、7位入賞、おめでとう。
女子マラソン、日本時間午前零時スタートということで、昨夜は9時に就寝、11時半に起きて応援しました。
私はマラソンを走る人たちを、ただただ見ているのが好きです。
やっぱりきょうも、ただただ見ていてすごいと思いました。
ゴール目指して走る女性たちみんなに心から声援を送りました。
からだひとつで自分の持てる力を信じて走る42.195キロ。
ひたむきに全力で走る姿はとても美しいです。

「幸せです。ありがとうございます。頑張ってきてよかったです」と野口みずきさんは直後のインタビューで言ってました。野口さんを見ているとリボンの騎士の王女サファイアを思い出します。走っているときは凛として勇敢で、レースを離れると笑顔のかわいい女性だなと思いました。
土佐さんは「やっぱりメダルに届かなかったのは悔しいですけど、走れてほっとしています」とほのぼの淡々とレースを振り返っていました。言葉にはならないいろいろな思いがあることでしょう。
坂本さんは「メダルは4年後にお預けにしておきます」。頼もしいです。
皆さんまた前へ向かって進んでください。
私も前へ向かって進みます。勇気をどうもありがとう。

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2004.08.22

高校野球に思うこと

済美高校、強いですね。
きのうの準決勝は出かけていたので応援できず校歌を聞くことはできなかったけど、勝ったと知って大喜びしました。
きょうも勝って校歌を聞かせてほしいです。
「光になろう」 済美高校校歌
~「やれば出来る」は魔法の合いことば~
なんと素敵な言葉でしょう。夢見るころを過ぎてもいつまでも信じていたい言葉です。

スポーツは何でもそうだけど、特に高校野球は勝っても負けても見ていて辛いですね。
特にサヨナラゲーム。外野にボールが飛んで、野手の間を抜けていって、ボールは転々ところがって、もう終わりだとわかっていても必死で追いかけていく姿。せつないです。勝利の女神はいるだろうけど、敗北の女神もいてほしいなと思います。

高校野球は10代の頃かなり熱心に見てました。
準々決勝が一番見ごたえがあります。
一日に8チーム4試合も強豪たちの姿を見られて得した気分でした。
(最近では選手の体調を気遣ってか1日2試合2日制となりました)
この頃になると私自身の夏休みもだんだん終末ムードが漂ってきて、最後の試合のサイレンを聞くとさびしさいっぱいの気分になります。

長かった夏休みもいつかは終わるんだな。
手つかずの宿題がまだいっぱいある。
やっぱり初めにしておけばよかったな。
だらだらと過ごしてしまったな。
何もしないで終わってしまったな。
計画を立ててちゃんとしておけばよかったな。
いつもいつも懲りずに同じ後悔をしてました。

過去を振り返ると一番好きな選手は早稲田実業の荒木大輔選手。思い出に残るのは東洋大姫路の松本投手、今治西の三谷投手、中村高校の山沖投手。当時は原辰徳選手も好きでした。あまりにレトロですけど、やっぱり夏の高校野球を見るたびに思い出します。

きょうの済美×駒大苫小牧の決勝戦、楽しみです。
この夏、最後の試合です。心情的にはすこし済美寄りですけど、どちらも悔いのないよう自分たちを信じて頑張ってほしいです。私の夏休みも残りわずかなので悔いのないよう過ごそうと思います。

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2004.08.19

走る少女・「通りの神秘と憂愁」

炎天下しずかな通り濃い影と走る少女は夏の幻影
時のない迷宮世界ひとりいて静かにおどる夏の少女よ

8月18日の日経新聞「踊る女たち十選」で三浦雅士氏がデ・キリコ「通りの神秘と憂愁」を紹介していました。有名な絵ですが私、見たのは久しぶりです。夏の日の静かな風景、心象風景だと感じました。この夏もいつかは終わるのでしょう。そう思うとさびしいです。

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2004.08.18

「自分を信じる」

競技後のスポーツ選手の言葉はシンプルで心に響きます。
アテネオリンピックでは「自分を信じる」「勝つことにシンプルになる」というメッセージを日々受け取っています。
揺るぎない自信、自分をとことんまで信じることができたらもう怖いものなし。ムーンサルトもトカチェフもなんでも絶対大丈夫。
誰かを信じる人よりも自分を信じる人、そして誰かに信じられる人は強いです。

北島康介選手は百m平泳ぎで金メダル獲得後「不安なときは、自分とコーチを信じるだけでした」とコメントしたそうです。(日経新聞より)ほんと平井伯昌コーチ、そして自分への最高の賛辞だと思います。

北島康介選手オフィシャルウェブサイト「frog town」

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2004.08.16

「未来につながる試合」・獅子座の新月

オリンピック男子サッカー予選リーグ敗退、残念でした。ピッチの芝はとても美しく緑色に輝いていましたが、ゴールは厳しく遠かったです。サッカーを見ていて時々思うのですが、そして過酷な試合を見るたびに思うのですが、映画「プラトーン」の一場面を思い出します。
ベトナムの密林のなか取り残された米兵エリアス(ウィレム・デフォー)が一人、大量のベトナム兵に追われるシーン。事実、彼は追われているけれど、敵を従えて前へ前へと突き進んでいきます。まるで敵も味方もないかのように。未来につながる戦争はなくても未来につながる試合はあると思います。また前へ向かって進んでほしいです。

きょうは獅子座の新月です。

               「旅立ちの刻」
image/Lion2

        「旅するライオン」
        ここではないどこか
        ここではないどこか遠くの地が呼んでいる
        逃げたいのではない 隠れたいのではない
        そこに行きたいという声がする
        そこで待っているという声がする
        そこはどこなんだろう
        地図はないけど行く方向はわかっている
        旅するライオン きょうが出発の日

私のお気に入りアート、runaさんの作品「旅立ちの刻」です。
7月の新月の日に同じような思いを抱いてrunaさんは絵を描き、私は詩を書きました。

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2004.08.15

いつくしむ雨

焼けたつち芽吹くいのちに降りそそぐいつくしむ雨しみわたる声

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どこかの蝶々

どこかの蝶々が
どこかの蝶々に恋をして
ぱたぱたとはためくと
さわさわとそれが伝わって
ざわざわとなにかが動く

やがて恋は愛となって
ぱたぱたとはためくと
さわさわとそれが伝わって
ざわざわとなにかが動く

ひとつの愛がすべての愛につながって
世界に愛が満ちあふれるとき
どこかの蝶々はどこかの蝶々と
自由のダンスを心から踊る

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2004.08.14

千回の夏

夏、真っただ中。身を焦がすほど暑くて自分が溶けてあふれてしまいそうだけど、やっぱり夏が好き。この夏を迎えられたのはとてもラッキーでハッピーなこと。私ひとりではとてもとても無理でした。「100万回生きたねこ」という本があるけど、私は千回夏を生きることができたらなと思います。

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オールマイティ

いつ起きて いつ眠るのですか
いつ働いて いつ休むのですか
いつ食事して  いつ移動するのですか
いつでも どこでも あらわれる
眠りながら目覚めている人
脱力しながら全力な人
すべて知っているオールマイティな人
あなた神様ですか

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2004.08.13

『そして誰もいなくなった』「異人たちとの夏」

お盆といえば……
そして誰もいなくなった
異人たちとの夏

家のまわりがしーんと静かです。みんなお盆休みでどこかへ行ってしまったのでしょうか。どこへも行かない人もいると思うのですが、みんな家のなかにいるのでしょうか。そういう私も今、家のなかにいます。人影もまばらで子供たちの遊ぶ声も聞こえてきません。真空地帯です。ああ、ここは特殊な場所だと実感します。私らしいところに住んでいるなとあらためて思います。

私は集合住宅に住んでいますが、出会う住人もほとんどいなくなりました。映画「異人たちとの夏」の舞台となったマンションを思い出します。ただ1カ所の怖い場面をのぞけば大好きな作品。こちら側とあちら側の境界世界を描いたお伽話のような映画です。風間杜夫&名取裕子&秋吉久美子&片岡鶴太郎、みんなみんなすてきでした。真夏の浅草。過去へのタイムスリップ。異人たちとの出会い。この夏はほんとうに不思議な夏です。

8年前のきょう祖母が亡くなりました。陽気で明るく歌と踊りが好きな祖母でした。当時私は帰省せず東京にいたのですが、急遽里帰りとなりました。お盆の時期に夫婦そろって帰るのは初めてで、それ以後一度もありません。きっと祖母が呼んでくれたのでしょう。天使のような人でした。今も私を見守ってくれていると思います。どうもありがとう。

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2004.08.12

トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の素敵な仲間たち展」

トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の素敵な仲間たち展」(7月29日~8月10日・大丸ミュージアム・東京)を最終日に観ました。
新しい発見がいくつかありました。

スナフキンとミイは異父姉弟だった。
ムーミンパパとムーミンママの出会いのエピソード。
ムーミン一家は愛と平和に満ちた理想的な家族だと思っていたけれど、実際その長い歴史の中には山あり谷あり大波小波があって、それぞれの内面には孤独や葛藤も多く秘められていた。
スナフキンとムーミンパパはともに愛と自由を求める冒険者で、とても似た者同士の2人だったということ。

そして私はミイの存在がいつも気になっていたのですが、それは奈良美智さんの描く不機嫌な顔をした少女とどこか似ていて、私のインナーチャイルドなのかもしれないと思いました。今回ミイがかわいく無邪気に笑っている絵を1枚発見できて、私、とてもうれしかったです。

トーベ・ヤンソンは画家でもありました。「自画像」(1944-1945年)という油絵では、ムーミンそのもののようなやさしく穏やかな表情をした彼女自身が描かれていて特に心ひかれました。

「ムーミン」は子供の頃よく見ていましたが、思えばムーミン谷の住人のことは何も知らずにいました。誰が何歳で、誰とどういう関係で、どんな仕事をしていて、どんなふうな人生を歩んできたか……。それでも1回ごとの放送が楽しめて、テレビの前で笑ったり泣いたり、喜んだり悲しんだりしてました。そういう時代はよかったなと思います。

恋するムーミン』というほのぼのしたコミックが多数の原画とともに紹介されていました。今度読もうと思っています。

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2004.08.11

『うちの猫に限って』『雨の日のネコはとことん眠い』

人間ウォッチングも好きだけど、猫ウォッチングも好き。
猫から学ぶことは多いです。猫は繊細かつ大胆。
脱力する時には完全に脱力して、俊敏である時にはとても俊敏です。
猫は眠りながら疲れを取りのぞき、猫自身を回復しています。
今さら猫にはなれないけれど、猫的な生き方を目指しています。

猫についての本はよく読みますが、なかでも加藤由子さんの書いた本が好き。『うちの猫に限って』『雨の日のネコはとことん眠い』がとくに気に入ってます。優しく鋭い観察力と愛情でもって猫の不思議な生態を解きあかしています。

私はイエネコよりノラネコが好き。
どこからかふらっとやってきて、どこかへふらっと去っていく。再び会える保証はありません。
猫は自由の象徴。猫との出会いも一期一会だなと思います。

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幌と天幕

幌と天幕がどんどん消えてゆく
形あるものはどんどん溶けていく
形ないものがどんどんあふれてる
夏の始まりはいつなのか忘れた
夏の終わりがいつなのか教えて
ただ溶けていく ただあふれていく
すべてひかりになってゆく

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2004.08.10

奈良美智さんの個展

美術家、奈良美智さんの個展「奈良美智-From the Depth of My Drawer」が東京・品川の原美術館で8月11日から10月11日まで開かれます。
「私の引き出しの奥」からという副題。「ずっと開けることのなかった引き出しを開けるように過去の作品を見つめなおしてみたいと思いました。過去を見つめなおすことは、これからの進むべき未来を示すヒントになるはずです」と個展開催の解説文のなかで奈良さんは語っています。
過去と現在と未来を見ることは今の私のテーマでもあります。遠く離れた世界に住む1大ファンの私ですが、奈良さんとプチシンクロできているようでうれしいです。引き出しの奥には何があるのでしょう。不機嫌な顔をした少女は微笑んでくれるでしょうか。原美術館へはまだ一度も行ったことがないのでそれも楽しみです。

奈良美智さんについては
HAPPY HOUR
奈良美智さんのページ
などファンの方運営のサイトがあります。

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2004.08.09

「ミスティック・リバー」

きのう「ミスティック・リバー」を見ました。
あまりに重たく深いテーマを描いた映画なので正直なところ真夏の午後に見てよかったと今は思います。
少年であること、大人になること、子供を欺く大人がいるということ、原因と結果の法則、心の傷の克服、記憶するということ、忘れるということ、罪と罰、過去を生きる、今を生きる、明日を生きるということ。たくさんのメッセージを受け取りました。
人の心には深くて長い川が流れていて、不思議や謎や未知なこと、過去も未来も現在も何もかもがそこにはあって、すべてを集めて流れている。どこの水をすくいとっても、どんな水をそそいでも、川は川のまま変わらずに流れていく。
せつなさややりきれなさは感じたけれど、伝わるものは温かく救いのある映画だと思いました。

きょうは平和を願う日。平和の鐘が鳴り響きます。
世界が愛と光で満ちあふれますように

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2004.08.08

いまもこの手に

旅の空つきない想い絵はがきと18きっぷいまもこの手に

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2004.08.07

ゆらりふわふわ

夏休みゆらりふわふわしていたらすでに一日過ぎてしまった

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「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

ずっと思っていること、人の心って多面体なのか球体なのかということです。私は自分自身の二面性についてよく考えます。それが時に悩みの種、時に喜びの種となっています。それで多面体なのか球体なのかということですけど、限りなく多面体に近い球体になりたいと思っています。いろいろな面を持っていてもそれらが一つの面でつながって、一つの丸い球みたいなひとつの心になればいいなと。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

この映画はおもしろいです。実在の天才少年詐欺師と彼を追うFBI捜査官を描いたクライム&ラブコメディです。生きるために詐欺師となった高校生フランク役を30歳のレオナルド・ディカプリオが演じてます。複数の人生を生きることはスリリングで楽しい。フランクには度胸と勇気があったから綱渡り人生をやってのけられたのでしょう。複数の人生を生きたい願望は私にもあるし、だれもが持っていると思います。人生にイフはないと言うけれど、もしパイロットだったら、もし医者だったら、もし弁護士だったら……、数限りないイフ。この映画を観ていると理屈抜きで楽しめて爽快な気分になります。イフ願望解消&達成映画なのかも。

共演はトム・ハンクス。監督はスティーブン・スピルバーグ。ジョン・ウィリアムスの音楽もとてもよいです。軽快でおもしろく深い映画です。真夏この映画をまた観たくなりました。

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2004.08.06

『アフターダーク』『シドニー!』

9月7日に村上春樹氏最新作『アフターダーク』(講談社)が発売されます。著者からの内容紹介文として「夜明けまでには、まだずいぶん時間がある。」と記されています。夕暮れて夜明けまで闇のなか何が起こるのでしょう。夜はとても長いということですね。楽しみです。

村上氏の本で今、再読したいのは『シドニー!』です。2000年シドニー五輪エッセイ。アテネオリンピックを前に文庫版も『ワラビー熱血篇』『コアラ純情篇』と出ました。
特に印象深いのは有森裕子さんと犬伏孝行さんへのインタビュー記事、そして女子マラソンと男子マラソン当日の村上氏の日誌です。マラソンランナーの心理状態、マラソンを走ることの意味、勝つことと負けることの意味を私もささやかながら理解することができました。
スタートからゴールまで42.195キロを走ろうとする人を私は心からすごいと思います。今回もマラソンを一番心待ちにしています。

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ちから

ふりだしに戻ることができたら
出会うときは今まで何度もあった
なぜ今まで出会えなかったのだろう
その時が来ないと出会えない
あの時 前へ進んでいたら出会えていた
あの時 ひとりでいる覚悟があったら出会えていた
あの時 ひとりになる勇気があったら出会えていた
あの時あの時が何度もあった
フォースとフォースが出会うとき
刻々と過ぎていくこの今に
すべてのフォースが注がれますように

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2004.08.05

コーヒーミル

そういえばコーヒーミルはスローライフだと思いました。遠い昔おいしいコーヒーを飲みたくて手回しの小さなコーヒーミルを買いました。
1人か2人分の珈琲豆をガリガリと挽き、フィルターでこしてつくるコーヒー。時間はかかるけれど、ゆっくりした時間の中でゆっくりつくり、ゆっくりゆったり味わうコーヒー。自分のスピードとテンポでつくりだす味と香り。

コーヒーミルは新宿東口の専門店で買いました。記憶を頼りに調べたらヤマモトコーヒー店だとわかりました。創業50年の珈琲豆&器具専門店。その頃は靖国通りに面した場所にありました。そのコーヒーミルは今でも大切に持っています。もう長い間使わずにいてインテリアと化していましたが、きょう受け皿をあけてみると粉がわずかに残っていて珈琲豆の香りがかすかにしました。思い出やらなにもかもがいりまじった不思議な香り。過去へ一瞬トリップしたかのようでした。

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2004.08.04

高校野球と校歌らしくない校歌

この8月は私的にはスポーツ月間。
8月7日には夏の高校野球大会が、8月13日にはオリンピックが始まります。
今年春の選抜では愛媛県の済美高校が初出場で初優勝しました。
済美高校は数年前まで女子校でした。すごいことです。奇跡です。
校歌が一部で話題になっていたそうです。
私も初めて校歌を聴いたときに、その校歌らしくない斬新な歌詞に驚きました。
シンプルだけど心に響く歌だなと思いました。
今年の夏も出場します。今年もたくさん勝ってこの歌を何度も聴かせてほしいです。

「光になろう」 済美高校校歌

この校歌には校名が一度も出てきません。
「済美」と書いて「ここ」と読んでいます。
私の母校の校歌にも校名が出てきません。
入学後最初の音楽の授業で校歌を教わりました。
先生は校歌についてまず語りました。
私たちの校歌には校名はどこにも出てきません。とても美しい言葉と美しい旋律を持つ歌です。誇りに思いなさい。大切にしなさいと。

校歌らしくない校歌で思い出すのは、荒井由実さんの「瞳を閉じて」です。
島の分校の生徒が自分たちの校歌がないのでつくってくださいと発した声に応えて荒井由実さんがつくり贈った歌です。
校歌としては認められなかったけれど生徒たちに愛され歌われ、今も愛唱歌として歌いつがれているそうです。
私はこの歌が大好きです。

「瞳を閉じて」 奈留高校愛唱歌

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2004.08.03

夏に読みたい本・清水義範

夏はあまり深刻な本は読みたくありません。
あまり軽薄な本も読みたくありません。
適度に軽く、適度に重く、読んでいてクスっと笑える本がいいです。
題名だけ読んでもフフっと笑えるような本。
読んだ後も文中のフレーズを思い出してプッと吹き出してしまう本。
夏になると読みたくなる作家は何人かいて、その一人が清水義範氏です。

好きな本は『秘湯中の秘湯』『バールのようなもの』『アキレスと亀』『江勢物語』『深夜の弁明』『ことばの国』『永遠のジャック&ベティ』
傑作の短編は「靄の中の終章」「訳者あとがき」「スノー・カントリー」「偏向放送」「みどりの窓口」「スカートとスピーチは」「ワープロ爺さん」等々です。
まじめなものはおもしろい。人間は浅くて深い。日常生活は笑いの宝庫。普通の人生はせつなく楽しくおもしろい。清水氏の小説は軽快で深遠だなと読むたびに思います。

清水義範氏の弟・清水幸範さん運営「清水家のお茶の間ページ
ファンの方運営「永遠の清水義範」に作品リストなど載っています。

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2004.08.02

ひとりの月

月に微笑みました。月が微笑んでくれたかどうかはわかりません。
月はただそこに在って、燦然と輝いていました。
ひとりの月だと思いました。月はひとりでいてもさびしくないのだろうなと思いました。ひとりの月は動かない月。とても頼もしい存在。

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2004.08.01

水瓶座の満月、『詩集:ラブ・カレンダー』

きょうは水瓶座の満月です。
夢は自分で叶えるもの 夢を見られるのはとても幸せなこと
夢が叶っても 夢が叶わなくても
いつも夢を見ていたい いつも希望を持ち続けていたい

小さいころから詩集が好きでよく読みました。
私が好きな詩は、やさしくシンプルな言葉で綴られたこころの詩。
藤公之介さんの詩集を愛読していました。
集英社文庫コバルト・シリーズの詩集は今でも大切に持っています。
『12星座 愛の詩集』『詩集:シェルブールの雨傘』『詩集:ラブ・コレクション』『詩集:ラブ・カレンダー』
恋のこともよく知らないのに恋に憧れて読んでいたのだなと今読むとせつないです。今もよくわかっていません。

『詩集:ラブ・カレンダー』藤公之介著(集英社文庫)
この詩集には1年の12の月ごとのイメージで色分けされた詩が綴られています。
8月は「ココナッツ・ブラウンの8月」
きょうから8月なので、その中からとてもかわいい詩を1つ。

「恋の天文学」
銀河系のはしっこの太陽系
小さな地球の北半球
島国日本のこの町の
一丁目と三丁目で生まれた二人

でっかい宇宙から見れば
塵より小さな あなたと私
ちっぽけなことね こんなケンカ
ちっぽけなことよ そんなジェラシー
黙って星空を見ているだけで
二人はいつしか 仲直り……

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