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2007.06.06

詩の原点「あなたへ」きのゆり

現代において詩の主な読者は詩を書く人たちだという。衝撃の事実。私は人の詩をほとんど読まない。好きな人の詩は時々読むけど。思うにchiiko通信を訪れる方々の多くは、ふだんあまり詩を読んだり書いたりしない方々なのではないだろうか。(私の思い込みなら済みません。)だから私はこれまでここに詩を書いてこられたのだと思う。感謝。

こんな私も十代の頃は詩をよく読んでいた。大詩人とか何とか賞受賞の詩ではなく、『詩とメルヘン』という投稿雑誌に載った普通特別な人たちの詩を読むのが好きだった。私にとって詩とはそういうものだった。

なかでもきのゆりさんが一番好きで詩集も幾つか持っていて、何度も何度も読んで感じたので、きっと私の心の奥底や天井、壁紙、襞々にまで染み入っていたのだろう。それから夢見る頃を過ぎてきのゆりさんの詩を読まなくなっても、言葉や情景が意識無意識に浮かび上がっていた。

久しぶりに思い出してページを開いたのが詩集『わがままな恋しかできなかったら』の「あなたへ」という詩。私いまだ夢見ているみたい。ぜんぜん変わらない私がここにいて、ものすごくいとおしくなった。記念にここに記しておきます。



「あなたへ」 きのゆり

花は
男のひとがすき
花を
摘まないからすき

花は
男のひとがきらい
花を摘まないからきらい

花を摘まないのは
男のひとのやさしさだと
花は誤解しているのです

それでいて
自分の想いに気づいてくれないで
通りすぎる男のひとに
花は腹を立てているのです


                詩集『わがままな恋しかできなかったら』より
 

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コメント

映像が素直に浮かんできます。
乙女心はいくつになっても・・・。

きっと男はこういうでしょう。
「どうすればいいんだ。」

いとしい詩を教ええくれてありがとう。

投稿: まりりん | 2007.06.06 08:55

現代において写真を見る人は, これまた撮ってる人のような気がしてなりません.
しかし今残念がることも無い気がして. なんとなく.

僕は17歳の時に中也に衝撃を覚えました.
山羊の歌に収められていたように記憶しますが, 盲目の秋だったか.
「サンタマリヤ, とにかく私は血を吐いた...」
ここなどどうも忘れられません.
龍之介の短編に「葱」という作品がありますが.
あれも良く覚えてる.
そういうのは何か自分のなかに浸透して残ってるっているっていうchiikoさんのお話は面白い.

最近引越しの為に部屋を掃除していたんですが
30回ぐらい読んだと思う太宰治の「人間失格」
どういうわけか2ページ読む気にもなりませんでした. 重い.
だいたい濱田成男なら今でもよめんだけど(汗)
昔本屋のお姉さんがくれた「カンガルー日和」を見つけました.
今日でバイトをやめるからお別れにってくれた.
最初で最後の会話. アメリカに行ったそうだけど元気だろうか.
僕は毎日太宰の全集を読破する為に立ち読みしに行ってた(汗)
足癖が悪くていつも気付くと書店の端から端に辿り着いてる.
読みながらカニ歩きしてしまう. たぶんそんなのが可笑しかったのかもしれない.

投稿: 石川 | 2007.06.06 10:57

私は詩人の詩を読んだことがありません。勉強のためと思って、詩集を手に取ったりしたんですが、何故かどう~しても読む気になれず、このままきました。

そのかわりと言ってはなんですが、歌詞はよく読むんですよね。

「詩とメルヘン」よく立ち読みしました(笑)私もいつか!と思っているうちに、確か休刊になったような…。

「あなたへ」乙女心を鋭く突いていますね。

投稿: 言葉屋 | 2007.06.06 20:11

まりりんさん、おはようございます!
これは男のひとの心も書いているんだね。
このふたり、どうなったんだろう。
素敵なコメントどうもありがとう。
きょうもよい一日を。また来てね!

投稿: chiiko | 2007.06.07 05:13

宗さん、おはようございます!
宗さんの原点を教えてもらったようでうれしいです。どうもありがとう。
コメントをいただいて思ったのは、この記事、石川さんの壁いっぱいに埋めつくそうの記事とイメージがなんかリンクしている感じ。やっぱりグループソウルなのかな。

私の純文学の目覚めは三島由紀夫の「仮面の告白」です。衝撃だった。これは私だ、これはあなただと思いました。
村上春樹さん大好きです。村上さんの文章も私の心に浸透してます。「カンガルー日和」は「チーズ・ケーキのような形をした僕の貧乏」が好きです。

最初で最後の会話。できてよかったね。みんな元気でありますように。きょうもよい一日を!


投稿: chiiko | 2007.06.07 05:30

言葉屋さん、おはようございます!
言葉屋さんの詩の原点、このまま来たのでよかったですね。

私も歌詞よく読みました。
今でもよく読みますけど、乙女の頃に聴いたのは格別染みついてます。
歌詞カードが好きで、目と耳と心と全身で聴いていたんだと思う。
きょうもよい一日を!

投稿: chiiko | 2007.06.07 05:35

やっぱ、「ことば」は空気というオブラートに乗っかって、素のまま心に届けられるもの、そのひとつひとつの場面(シーン)がすぐ頭に映し出されるような、ってものだよなぁ~~と実感(笑)。
chiikoさん、良い1日を!!

投稿: まさかず@コノ葉は風にのって | 2007.06.07 08:38

こんにちは~、chiikoさん!

ああ!衝撃!!
そうだった、詩は書きません、書けません^^。
詩は楽しみたいけど、好きなところにしか行けません。
「好きなところ」とは、理由を書くとどんどん心から遠くなるので書けません^^;。
なので、chiikoさんのところに来るワケは書けません。

ちょっと思い出しました。
中学で習った、高村光太郎の「道程」が好きだったこと。
初めて買った詩集は、岡真史くんの「ぼくは12歳」。

・・・chiikoさんの女性らしさからは、ほど遠いなぁ~^^;。


ではでは~。chiikoさんもよい一日をね!


投稿: りよ | 2007.06.07 11:17

まさかずさん、こんにちは!
まさかずさんの言うそのオブラートって、いい響きですね。
コノ葉ってそんな感じなのかな。良い一日をどうもありがとうございます!

投稿: chiiko | 2007.06.07 17:22

りよさん、こんにちは! いつもどうもありがとう。
りよさんの大切な思い、好きなところ、これからも大切にしてね。

それでさらに衝撃~~~
私も岡真史くんの「ぼくは12歳」持っています。実家に。
もしかしたら私が初めて買った詩集もそうなのかも。
私の詩の原点そこにもあるって今、思い出してきました。

レモン哀歌が私は好き。
そして教科書の詩では吉野弘の夕焼け。
好きな詩のこと教えてくれてどうもありがとう。
ではまたあした!

投稿: chiiko | 2007.06.07 17:34

おはようございます。

小学生のころ,新聞に「小さな目」という連載があって,同級生のえつこちゃんがよく投稿していたが,なも の家は新聞が違ったので,読めなかった。

でも,えつこちゃんにつられて,小学校高学年のころから「詩のようなもの」をノートに書くようになった。その中には,なも としては気に入ったものもあった。

しかし,高校の現国の教科書で,西脇順三郎とリルケの詩を読んで,「小さな目」と「詩」との距離を知った。

だから・・・というわけでもありませんが,詩(のようなもの)を書くということは高校時代にやめてしまいました。読んだのは・・・,恋人に勧められた八木重吉くらいかな?

投稿: なも | 2007.06.09 10:07

わーっ!
なつかしい言葉の波がやってきましたね。
『詩とメルヘン』…
やなせたかしさんが、投稿される詩や絵を編集されて
1冊にまとめられたものでしたよね。

幻想的な絵と詩を描かれた きのゆりさんは強烈に心に残っています。
影絵でファンタジックな東君平さんの『くんぺいの魔法ばなし』
小谷智子さんのも好きだったっけなぁ…
そうそう 星屑ひろい…というのも好きだった。
ずっと毎月買って読みました。
まだ実家には残っている…はず((笑))

男性が読むにはちょっと軟弱系に見られそうだったけれど
とても純粋な詩を体感でき、今に生きている。

この本から きのゆりさんを始め、
多くの詩人や画家がデビューしましたね。
私の憧れた九州の方から送られてきた1枚の絵葉書=葉祥明さんのだった。
すばらしい衝撃だった。たしか詩とメルヘンに出てましたよね?

あー
いつのまにか
chiikoさんのブログで詩とメルヘン讃歌を綴ってしまいました。
ごめんなさい。

ではでは
おやすみなさい。

投稿: トシャマル先生。 | 2007.06.09 22:09

私の詩の原点は、
岩波の少年少女文学全集の中の、
現代の詩という集でした。

その本でで朔太郎や中也や村野四郎などの、
詩を読んだのが原点です。

きのゆりさんの詩はここで初めて知りました。
女性のアンヴィバレンツな気持ちが、
伝わってくる良い詩だと思います。

投稿: 森の音 | 2007.06.09 22:30

なもさん、おはようございます!
詩の原点についてのお話、どうもありがとうございます。
私は人に勧めたり勧められたりという経験があまりないけど、
やっぱり勧められたり勧めることも、この長い人生では何度かありました。
それはすごく温かくてうれしい経験でした。
つれてつれられてって、これから一体何度できるかなとなもさんのコメントを読んで思いました。
小さな目と詩との距離、紙一重なのかもしれませんね。どちらも大切。
きょうもよい一日を!

投稿: chiiko | 2007.06.10 05:56

トシャ丸先生さん、おはようございます!
衝撃です。トシャ丸先生さんも詩とメルヘンの愛読者だったとは。
私は今6冊手元にあります。実家にはもっとあることでしょう。
すごく手触りのよい雑誌ですよね。温かみの伝わってくる。
葉祥明さんの絵はほんと素晴らしいですね。
一枚で物語る詩のような絵。
詩の原点のお話どうもありがとうございます。
もっとありそうですね。これからもご自身のブログで語っていってくださいね。
きょうもよい一日を!

投稿: chiiko | 2007.06.10 06:05

森の音さん、おはようございます!
森の音さんの詩の原点、とても真っ直ぐな感じが伝わってきます。
2年前、村野四郎さんの記念館に行ったときの感想をブログで少し書いてます。
名前のところにリンクしておきますので、よろしかったら読んでみてください。

きのゆりさんの詩にどうして私がひかれたか、ひかれるか
コメントを読んで、自分でも気づいていなかった理由がわかった気がします。
どうもありがとうございます。きょうもよい一日を!

投稿: chiiko | 2007.06.10 06:21

こんにちは。

素敵な詩ですね。初めて読みました。

この”花”の感覚は、女性なんですね。
受身の愛の気持ち・・
しみじみ感じ、ちょっと切ないです。

投稿: | 2007.06.13 12:15

静さん、こんにちは!
受身の愛の気持ち……だから風とかが呼ばれて呼ぶのかな。
受身の花が咲きますように。
きょうもいろいろやってみましたよ。
どうもありがとう。ではまたね!

投稿: chiiko | 2007.06.14 14:28

はじめまして きのゆりさんのファンです 詩が優しくて 心にきます 詩とメルヘンを休刊号を図書館で読み あわてて買いました 遅かったです😩詩とファンタジーが復活したので 安心しています

投稿: もえこ | 2016.04.06 22:19

もえこさん、はじめまして!
ブログにご訪問&コメントどうもありがとうございます。
きのゆりさんの詩。心に響きますよね。心が揺らいでも、そのままでいていいんだよと言ってくれるような気がします。
復活してよかったですね。きょうもよい一日を!

投稿: chiiko | 2016.04.07 09:21

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