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2004.11.25

映画「変身」

映画「変身」を見ました。
(ネタばれしているかもしれません)

小説『変身』を最近読み感想文も書いたので、ぜひ見たいと思って見にいきました。興味の焦点は、巨大な虫ってどんな虫なのだろう、その1点でした。
見た感想は、シュールで難解な映画だな、私は小説の世界だけでもよかったかなと。でも、映画を見て、はたと気づいた点もありました。虫って、そういうことだったのかと。監督は、俳優に人間の姿のまま虫を演じさせます。俳優はひとことも言葉をしゃべりません。からだひとつで虫を演じます。そもそも虫なんて、いなかったのかもしれない、と思わせるような描き方。

映画を見て新たに思ったこと。変身とは変心なのかもしれない。
人の心は突然変わります。
自分の心が変わらなくても、相手の心は突然変わります。
相手の心が変わらなくても、自分の心が変わることもあります。
姿が変わるのも怖いけど、それ以上に怖いのが、そのことによる人の心変わり。
この映画には不安な顔をした人がたくさん出てきますが、不安とは、結局は、変わってしまうことへの不安ではないかと感じました。

スーツ姿と電車が繰り返し出てきます。
主人公は最後、死んでしまい、その後、家族は光射す電車に乗って出かけるのですが、そのとき男は虫ではなく、スーツ姿でもなくふだん着になっていて、過ぎゆく電車と家族の光景を見ています。
男は虫に変身し、虫として生き、虫として死に、再びほんとうの自分に生まれ変わった、そんなふうに感じさせるラストでした。変身しても変わらないものもある、という監督からのメッセージのようでした。

小説と同じく夢を見ているような映画でした。江戸川乱歩の「現し世は夢 夜の夢こそまこと」という言葉を思い出しました。

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コメント

おはようございます。

やっぱり主人公は虫じゃなかったんですね。
さすがにホラー映画になりそうですもんね。

「変心」と「不安」が交じり合った映画の
ようですね。変わることの大切さを伝えたかった
んですかね。機会があれば見てみたいと思います。

投稿: 知恵蔵 | 2004.11.25 08:20

知恵蔵さん、こんにちは!
虫じゃないと思ってましたか。鋭いですね。
私は虫系が苦手なので、もうその場面が来るまで
どうしようかと、おののいてました。
でも、実際、虫であるよりも怖いのかも。
こういう解釈もありということだと思います。
映画ってすごいなと思ったし、小説もすごいなと思いました。
変わることと、変わらないこと、どちらも大切なのでしょうね。
私の感想で、関心となる部分がネタばれしてしまいましたね。
読んでくれてありがとうございます。
では、また!

投稿: chiiko(知恵蔵さんへ) | 2004.11.25 11:29

こんにちは。
すごいです!よくこれだけポイントをまとめられましたね!
この前、わたしが「変身」の感想文をchiiko通信に書こう!
と思ってまとめ出したら、言葉になるまで
5時間もかかりました。寝不足になりました。
何回も書き直して、大変でした。
このchiikoさんの映画「変身」の感想、何回か読んでポイントを盗んでおこっと。わはっ。
ではまた。

投稿: zuzu | 2004.11.25 16:00

zuzuさん、こんにちは!
この映画の感想、書こうか書くまいか3日ぐらい悩んで、きのうの夜、思ったことをそのまま書こうと思って書きました。こんなのでよかったのでしょうか。
私は読書感想文とか書評、映画評を書くのが大の苦手です。
粗筋を書くのがどうもだめです。自分の感じたことを書くことしかできないのです。たぶんこれからもこんな感じになると思います。
私もzuzuさんの映画や本の感想文は参考にさせていただいています。率直に感じたことを書くということは、zuzuさんから学んだことです。どうもありがとうございます。
これから会いにゆくのですね。では、また!

投稿: chiiko(zuzuさんへ) | 2004.11.25 16:25

こんばんは。
カフカといえば「海辺のカフカ」。
田村カフカ君は彼の中にカラスと呼ばれる少年がいました。
田村カフカ君はカラスと呼ばれる少年と相談しながら
家出をし、少しずつ大人になっていきます。

変身も少しずつの成長の結果であるのならいいのですが、
chiikoさんが書かれていたように「自分の心が変わらなくても、相手の心は突然変わります。相手の心が変わらなくても、自分の心が変わることもあります。」
突然ガラリと変わる人の心は怖いです。

話は唐突に変わりますが、zuzuさんが詩を送ってくれました。
今朝の「すすき」の写真です。
これから返事を頂くことになると思いますが、もし了解を得られたら、zuzuさんの詩を写真に載せたいと思っています。
その際に、昨日の「ヒこーキ雲」の詩も写真に載せてみたいと
思っているのですが、いかがなものでしょう。
前回の小春日和のような感じになると思います。
ご検討ください。
では、また。

投稿: アキラ | 2004.11.25 19:17

アキラさん、こんばんは!
カフカといえば海辺のカフカですよね。
アキラさんの中にももう一人カタカナ名前の少年がいるのかもしれませんね。
私の中にももう一人カタカナ名前の少女がいます。

人の心の話ですけど、私、人の心ほど怖いものはないと思っています。ガラリと変わることもあるし、じわりと変わることもあります。私の心もコロコロ変わります。一方で絶対不変のものもあると思っています。いまだ見つからず状態ですけど。

zuzuさんの詩、拝見しました。素敵ですよね。心がじわっと温かくなります。zuzuさんは詩人ですね。
私のヒコーキ雲も載せていただけるのですか。
うれしいです。どうぞご自由にお使いください。
きょうもヒコーキ雲、見つからずです。
では、また!


投稿: chiiko(アキラさんへ) | 2004.11.25 19:55

kawakitaです。トラックバックありがとうございます。

>>虫って、そういうことだったのかと。
再度のトラックバック先でも記述しているのですが、「小説を翻訳したドイツ文学者の池内紀氏の指摘によれば、本人以外だれも「虫だ」とは言っていないし、虫になったのも「もしかすると、ザムザひとりの思い込み」なのかもしれない。」という指摘と映画はぴったりなんです(chiikoの感想とも)。
(小説と比べて)映画の利点である視覚的な表現を抑制することで、見事に小説の言わんとするところを表現できているのではないかと思いました。

投稿: kawakita | 2004.11.25 21:40

kawakitaさん、こんにちは!
再度のトラックバックありがとうございます。
カフカ再読、読ませていただきました。
訳者ならではの視点、発見ですね。
監督も変身を深く深く読み、観客に一瞬にしてその隠れた意味を教えてくれています。
映画の力ってほんとうに偉大です。
私ももう一度深く深く変身を読み直してみたいと思います。
映画を見てほんとうによかったと思っています。
ひとりではわからないことがどんどんひもとかれていく感じがします。では、また!

投稿: chiiko(kawakitaさんへ) | 2004.11.26 06:24

chiikoさま
>> 映画はぴったりなんです(chiikoの感想とも)。
改めて自分のコメントを読んでビックリ。
「さん」付けしたつもりがchiikoさんを呼び捨てに・・・。ぶしつけに感じられたようでしたら申し訳ありません・・・。

投稿: kawakita | 2004.11.26 10:18

kawakitaさま、こんにちは!
再度、読みにきていただいたのですね。
気になさらないでください。私も気にしていません。
これからもよろしくお願いいたします。
では、また!

投稿: chiiko(kawakitaさんへ) | 2004.11.26 16:01

chiikoさん、はじめまして。
私も「変身」を観てみました。ちょっとうがった(?)見方をしているのですが、TBさせてください。

chiikoさんのレビューを見て、ようやくこの映画の意味が理解できたような気がします。

>そもそも虫なんて、いなかったのかもしれない、と思わせるような描き方。

>変身とは変心なのかもしれない。

とか、なるほどなあ、と感動すら覚えました。
洞察力の違いでしょうか…。とほ。

投稿: hole | 2004.12.03 22:07

holeさん、はじめまして。
トラックバックありがとうございます。
私もこの映画についてはまだまだ理解できていないのです。
わからないまま、感じたことを書いてみました。
もう一度小説「変身」を読んでみたらもっと理解できると思います。
小説自体は短いですが、とても深い世界を描いていますよね。
カフカってすごいと思います。
そして、そのカフカを深く読んだ監督もすごいと思います。
きょうは訪問&コメントありがとうございます!

投稿: chiiko(holeさんへ) | 2004.12.03 22:44

初めまして、コメント失礼いたします。
この度blogにて『変身』を取り上げましたので、トラックバックさせていただきました。
「変身」と「変心」。
日本語独特の表現ですが、これほど絶妙な捉え方はないと素敵な表現に感服です。

投稿: BP | 2006.03.11 08:29

BPさん、はじめまして。
この映画を見た頃のことをきょう懐かしく思い出しました。
すべては移り変わって、私も日々変身、変心しているのだなと。
どうもありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
よい一日をお過ごしください。ではまた!

投稿: chiiko(BPさんへ) | 2006.03.11 10:16

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